その可能性はすでに考えた

読んでいる本があまりに狭い。もっと面白い本がいっぱいあるんだろうけれど、お金を出そうとすると手が止まってしまう。貧乏性だ。おかげで地方書店の本棚に並ぶようなメジャー本ばかり読んでしまう……(近所に古本屋がないので)。いや、面白いんだけれどね…

流れよわが涙、と警官は言った

本についての文章を書くとどうしても紹介文になってしまう。どうせ誰も読んでいないのだから、自分用の感想メモみたいなものでもいいのだろう。まあ、文章のリハビリがメインなので、紹介文という枠があったほうがやりやすいのかもしれない。複数の本を同時…

髪禍

僕たちはいつも適当に身体を操った気になっているけれど、人体ってよく見ると結構気持ち悪い。肌をじーっと見ていると毛穴がみっちりしているし、爪を切った後透かしてみれば変な波模様が見える。人体を客体化することによって見える気味の悪さは、ホラーの…

はじめてわかる国語

清水義範の『国語入試問題必勝法』を読んでいたのだけれど、ああいう「答え合わせをしない皮肉(っぽいギャグ)」って最近見なくなった気がする。皮肉が意図するところを説明せずに終わる。じゃあ昔は多かったのか、という統計があるわけではないので、あく…

名探偵に薔薇を

私にとってミステリとは、何らかの犯罪なり不思議に見える現象を「起こさなければいけなかった」人たちの理屈、感情と、それに付随して起こる現象の連鎖を楽しむものである。登場人物たちを軽視していても問題はないけれど、作者ないし登場人物、ないしは読…

アンデッドガール・マーダーファルス

変換一発で出てびっくり。長いけど響きがいいので覚えやすいタイトルだなあと思う。19世紀有名キャラクターの大乱闘スマッシュブラザーズになっている2巻がよくおすすめされているけれど、1巻のミステリとしての綺麗さが好きなのでこっちのリンクを貼って…

船乗りクプクプの冒険

北杜夫といえばどくとるマンボウの印象が強いかもしれないけれど、僕は『船乗りクプクプの冒険』も好きである。小学生の頃にこれを読んで北杜夫の面白さを知り、図書館の大人向け本棚に足を運ぶようになった。そういう思い出も上乗せされている。宿題に飽き…

うどん キツネつきの

ペットボトル入りジャスミン茶を買ったあとにトイレに行くと、まるで何かを入れてきたみたいに見えるのでは……と今日は考えていました(緑茶よりも色が似ている)。そんなどうでもいいことはともかく、『うどん キツネつきの』。この作者、センス・オブ・ワン…

最近いろんなところでプッシュされている麻耶雄嵩。後味が悪いというか、自分をどのように成立させていいのかわからなくなるような不安を残す作品が多いと思う。『さよなら神様』の話を先にしようかと思ったけどなんとなく『螢』から。因縁のある屋敷、クロ…

ロボット・イン・ザ・ガーデン

普段読まないタイプの本を読もうと思って購入したが、設定はSFですよね。今度は唯川恵とか読みます(?)家庭用アンドロイドが普及している世界。奥さんに見捨てられそうなポンコツ亭主のもとに、謎が多いポンコツロボットがやってくる。現実逃避をしたくな…

夜よ鼠たちのために

本屋に入るとなにか買わずに出ることができない。たまたま入った小さな街の本屋で購入。品揃えからご近所さんの嗜好が見えるちょっと独特な店だった。「ステキでレトロな店」というテンプレートを押し出している感じがあるのが玉に瑕だけど、また行きたい。…

うなぎばか

人間の手によって滅ぼされんとするうなぎたち。おいしいけれど、おそらくもう食べられなくなる。この小説はそれを見越した(?)ポストうなぎ小説である。うなぎで思い出すのは1年前くらいの土用の丑の日。おばあちゃんが「食べられなくなる前に孫に食べさ…

わかりあえないことから

中学高校と演劇をしていた。何かの役割を持ってしゃべるのが楽だったからかもしれない。1年に1回発表会があって、それ以外はだいたい遊んでいた。そのときに平田オリザの脚本を読んで、めちゃくちゃ読みにくいなと思った覚えがある。それは多分、「話しこ…

ラギット・ガール

これも紹介。SFもミステリも短編の方が好きなので、短編集はいそいそと読んでしまう。身体感覚にフォーカスしていることを強調する描写が多い。人間は手触り(触覚)に対して意識的だけど、AIはどちらかといえばニオイ(嗅覚)に対して意識しているような気…

グラン・ヴァカンス

『デュオ』を読んで飛浩隆いいなあと思い読んでみた。ドンピシャである。 「SFは絵である」とは野田昌宏の言葉(だったっけ?)であるけれど、正直言って私はあんまり絵を想像したことがなかった。日常を文字で覚えていて、本もきれいな文章や言葉をそのまま…

風呂と村上春樹の本

バーナード嬢じゃないけど、村上春樹と向かい合うスタンスはなぜか難しいように取られがちだ。読書家としての立ち位置を問われているような感じ。でもこれだけコンテンツが飽和した時代では、村上春樹だって一人の作家に過ぎないし、一時代を作った偉人とか…

ハーモニー(伊藤計劃)

結局、本についてあんまり書いてないので、下書きからあさってみる。『ハーモニー』。20回は下らない回数読んできた。バイブル、というほど好きなわけではないのだけれど、何かを考えながら読むのには適切な文章/内容なので「愛用」してしまうらしい。デ…