アンデッドガール・マーダーファルス

変換一発で出てびっくり。長いけど響きがいいので覚えやすいタイトルだなあと思う。

19世紀有名キャラクターの大乱闘スマッシュブラザーズになっている2巻がよくおすすめされているけれど、1巻のミステリとしての綺麗さが好きなのでこっちのリンクを貼っておく。

存在が確認されていないフィクション上のモチーフを使って、それにしかできない論理を展開するところがすごくいい。ミステリは、書いてあることが現実世界に即して完全無欠に正しいことだけが是とされるわけじゃない。というか、「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」と言ったって、何が不可能なのかを知り尽くすことなんぞできない。M78星雲では? 100万年後では? 僕らが知らないだけで透明人間が存在するとしたら? 今のは『イリヤの空、UFOの夏』で水前寺が言っていた言葉をうろ覚えで引用したものだけれど、真実をついている。

僕らは、世界のすべてに接触することができない。

だから、想像を展開するならば、作品世界を論理的に定める枠組みが必要だ。どんな馬鹿らしい話でも、ギャグ漫画でも、その世界で起こりうること/起こらないことのラインが引かれていなければ、それは『物語』ではない。作られたものが縦横無尽に暴れるためには、何らかの構造が決められていなければいけない。我々が(とりあえず今いると仮定している)現実で生きるのと同じく。

フィクション上のモチーフを使うならなおさら、作者は作った世界の構造に責任を持たなければならない。たとえ荒唐無稽で誰一人認めていなくても、虚勢を張り続ける覚悟が必要だ。この作者には法螺を吹き続けるためにミステリを使っている。そう、ミステリのために世界を構築するというよりは、お祭り騒ぎな舞台を立ち昇らせるためにミステリを使っているのだ。おかげで作られた人たちが楽しく暴れられる。非常に論理的で、公正な態度だ。