はじめてわかる国語

清水義範の『国語入試問題必勝法』を読んでいたのだけれど、ああいう「答え合わせをしない皮肉(っぽいギャグ)」って最近見なくなった気がする。皮肉が意図するところを説明せずに終わる。じゃあ昔は多かったのか、という統計があるわけではないので、あくまで雑感だけど。

別に昔の人は頭が良かったなあ、なんてわけじゃない。ツイッターとかテレビとかにクソリプっぽいことを言ってしまう人は老若男女関係ない。むしろ炎上の恐怖に鈍い年配の人ほど炎上しているような気がする(だから年配の人のほうが阿呆なんていうわけでもなくて、ただ目立つというだけ)。公共の場に個人の意見を投げられるようになったので、玉石混淆の脳みそダダ漏れ空間ができてしまった。だから、最後まできちんと説明して、責任の所在をはっきりさせておく防御策が取られるようになった、ということなんじゃないかなあと想像してみる(あくまでも邪推であり、本当にそうなのか、むしろなんでも説明するような風潮が最近広まってきたのかすら不明)。

閑話休題。『国語入試問題必勝法』は日本の国語入試問題をモチーフにしたギャグである。ここからが面白いのだけれど、この文章を使って国語の試験が作られたらしい。清水義範はそれを更に取り上げてエッセイを書いている。曰く、「いくら考えても、この小説の作者である私に、正解がわからないのだ。」!

いやあ、これ言われたらギャフンとしか言いようがない。入試問題を使ったギャグを入試問題が取り上げて、文章内で言われているようなギャグ、いや、それ以上のギャグを行っているのだ。入試解説はどんな感じだったんだろう。すごく興味がある。

この話も含まれた『はじめてわかる国語』はこちら。日本語と漢字の複雑な関係を解説する『悩ましきかな漢字』もおすすめ。西原理恵子のさしまんがも面白いですよ。