辛さと自意識

辛いものが大好きだ。

辛ラーメンは辛くないので豆板醤や唐辛子を足す。ココイチは10辛。辛さが選べる場所に行くと必ず一番辛いものにする。

だけど最近気づいてしまった。別に辛くなくても美味しいものはいっぱいある。試しに中間より少し辛いくらいのカレールーを選んで食べてみたら、一番辛いものよりカレーの味がしっかりして美味しかった。辛いものは辛さが美味しいけれど、料理自体の味は薄まってしまっているのだ。

迷いが増えた。頻繁に来る場所なら別にいいのだけど、人生で一度しか行かないような店ではどっちを選べばいいのか。人と行ってシェアすれば解決するのだけど、どちらかといえば一人でご飯を食べる方が好きなのだ。そして一人で2食分たいらげるほどには食欲旺盛ではない。

味わうことを考えれば、辛さ控えめに軍配があがる。だけど、辛いものを人前で食べると言うのは自意識の発露なのだ。「俺ってこんなに辛いもの食えるんですよwww」というドヤ感が根源に存在して、辛くないものを選ぶことをためらわせる。それこそが選択の不自由なのではないか。

といいつつも、僕は辛いものを選び続けるのだろう。なぜならば、辛くても料理の味はするから。「料理の味」より「料理の味(弱)+辛さ」の方がお得だから! という言い訳をしながら、自意識過剰の人生を続けていくのだ。虚しいが、やめられない。