永遠のもの

どうせ死んじゃうのに、どうして皆生きてるんだろう。
なんで今日までそのことに気付かなかったんだろう。
永遠のものなんて、あるわけないのにね

少女革命ウテナ』のセリフ。私はめちゃくちゃ『ウテナ』が大好きというわけではないのだけれど、このシーンはやたらとはっきり覚えている(その割にセリフの細部が曖昧だ)。
ウテナ』は象徴的なシーンが散りばめられていて、語弊を恐れずに言うならわかりにくいアニメだ。だけど熱狂的なファンがたくさんいる。愛される理由は様々だけれど、その一つに上記の問いが根底にあるからなのではないかと私は思っている。

「永遠のものなんてない」。この恐ろしさに思いを馳せたことのない人はほとんどいないんじゃないか。「限りあるからこそ価値がある」なんていうのはやはり詭弁で、永遠の強さに勝てない。大抵の人は考えないようにするなり屁理屈こねるなり、何らかの対処をして見て見ぬふりをする。だけどそんなことはお構いなしに、我々は永遠を手に入れることなく消えていく。

私が大切にしているものは、私の認識上にしかない。だから、私が消えれば全ては消える。何かを永遠にするためには、自分が永遠のものになるしかない(認識のダイナミズムについてもクリアしなければいけないのだけれど、ちょっとそこは割愛)。それが無理なら、今の世界は等しく無価値だ。

ウテナは自分で解決した。私は、どうやって解決すればいいんだろう?

ちなみに『ウテナ』で一番好きな人物は高槻枝織、次が薫梢。ウテナは生徒会メンバーをある意味で救ったかもしれないが、彼女たちは救っていないと思う。この二人の残酷な執着は、永遠のものの存在を認めていないからこそ起こるものだ。