日記20200612

『裏世界ピクニック』を4巻まで読む。3巻のASMR女の話が面白かった。空魚と鳥子の関係性は軸のひとつなのだけど、それらが怪異のパフォーマンスやクオリティを上げるわけではないのがこの話のもったいないところだった。ASMR女の話は、二人や取り巻く人間関係が恐怖を増幅させる構造になっていて、上手く噛み合っている感じがした。
あと4巻の「隣の部屋のパンドラ」。派手なことが起こるわけではなく、まっとうに怖い。実話怪談っぽさが一番強いかも。

裏世界と実世界との行き来が盛んになるにつれて恐怖の質が変わってゆく。裏世界だからこその「何が起こるかわからない」サバイバルから「今まで信じてきたこの世界が壊されていく」世界の侵食へ。前も書いたような気がするけど、「二人なら怖くない」から「二人だから怖い」にシフトしたとき、この話は真に完成するような気がする。ホラーとして、百合として、SFとして。作者がどう思っているかはしらんけど。