引き寄せる力と離れる力――みずは無間(途中?)

『みずは無間』について書くのは難しい。なぜなら、私はみずはと主人公の両者の性質を併せ持っているから、あまり客観視して書けないのだ。修行が足りない。

無人宇宙探査機のAI、雨野透には、実在の人間の人格が投射されている。面倒くさくて重たい彼女・みずはから、そして地球のあれこれから逃げ出したい一心でAIの透は宇宙を当てなく旅するが、みずはの記憶はつきまとったまま。彼は、永久の暇にあかせてみずはからの逃避を図る――。

全てのものから逃避したい透と、全てのものに執着するみずは。二人は対になっていて、それこそ無間地獄に落ちたかのように逃げられない。引き寄せる力と離れる力、そして性質を変える力。宇宙を構成する4つの力のようだ。そして、本を読み進めればなんとなくわかってくるが、両者とも互いの性質をそれぞれ持っているのだ。だからこそ面倒くさい。