宙に参る

漫画とか本とか、同じ作家の作品しか読めなくてけっこう老いを感じる。新しいものへの参入障壁が日に日にでかくなっていく……。
それがちょっと悔しくなって手にとったの『宙に参る』。結局SFじゃん! と言われればそうなのだけど。唯川恵とか読めるようになるのはいつのことなのだろう。

宇宙が身近になった世界で、かなり腕のいい(というか良すぎる)技術屋の主婦ソラが、子どもであるロボットを連れて亡き夫の遺骨を義母に届けに行く話。古き良きSFの夢と現代的な思考が混じり合って、SFを食べて育った人の「今」を感じる。

技術的説明にもよりすぎず、ファジーであやふやな情緒に頼り過ぎていなくてバランスがいい。情緒ものは好きだけど、作品の奥底にそれを成立させる「世界」が確固として存在していなければいけない。つまり、目に見える・明示化されている以上の奥行きが必要なのだ。これはSFに限らず、すべての『物語』に言えることだけど。この漫画はその情報の出し方がうまいというか、押し付けがましくない世界の見せ方をよく知っている。(余談ですが『ハンター×ハンター』はこれが神がかってうまいですよね……)

まだ1巻だけど先が読みたい。ホクホクですね。