(勢い)(勢い)(勢い)――任侠沈没

某ツイッタラーさんが勧めていたのでちょこっと覗いてみたら……あっという間に最後まで読み切ってしまった。

侠気あふれるヤクザ、大紋寺龍伍。組を思って組長の息子を斬ったがゆえ恨まれ、妻と子を殺されてしまう。仇討ちのため、組長のいる東京に向かおうとしたそのとき、大地震が日本中を震わせた――。「任侠もの」+「日本沈没」、さいとう・たかをの『サバイバル』に目的は近いのだけれど、多くのトラブルを「任侠」によってクリアしていく前代未聞の漫画である。

そもそも地震が起こっちゃったら仇討ちどころではないのでは、と立ち止まる読者を置き去りにし、「任侠」の文字しか脳みそに入っていないような舎弟を引き連れ大暴れをする。大災害に負けないどころか、大災害を味方につけて人を斬ったりバイクでチキンレースをしたり人を地割れに落としたりする。そんなことしている場合ではない、という舎弟の言葉がたまーに入るのだけれど、主人公の頭にあるのは一つ、「ここで引き下がれば侠じゃねえ」、ただそれのみ。それで納得する舎弟もヤバイな。

ただただ勢いだけで邁進する漫画なので、すべてまとめて一気に読むことをおすすめします。というか、少しずつ読んでいたらストーリーの破綻に目が行き過ぎて読めなくなるので、頭を空っぽにして望みましょう。幸い、全3巻と短いです(これくらいスッキリしてるほうがいいですよね、というかこの設定ではそれ以上の長さは出来ないだろうな……)。